2018年04月18日

【お知らせ】5月5日「川柳スパイラル」東京句会


5月5日「川柳スパイラル」東京句会


日時 2018年5月5日(土) 午後1時〜5時

会場 北とぴあ 802号(定員50名)
東京都北区王子1-11-1  JR王子駅北口 徒歩2分

時程 13:00 開場 13:30 出句締切
   
第一部 13:30〜15:00 対談「短歌と川柳」瀬戸夏子×我妻俊樹

〇我妻俊樹(あがつま・としき)
1968年生まれ。
歌人、作家。著書に『忌印恐怖譚 くちけむり』(竹書房文庫)など。
2016年、『率』10号に誌上歌集「足の踏み場、象の墓場」掲載。
〇瀬戸夏子(せと・なつこ)
1985年生まれ。歌集『そのなかに心臓をつくって住みなさい』
『かわいい海とかわいくない海 end.』
   
第二部 15:30〜17:00 川柳句会

「雑詠(自由吟)」2句
「オノマトペを使った句」2句 (擬声語・擬態語を使って詠んでください)
兼題
「映画」
「Y」
「なめらか」各2句
  
選者及び選句方式は当日発表します。

川柳句会のやり方について

会費 1000円

申込み
小池正博まで
〒594-0041 和泉市いぶき野2-20-8
TEL・FAX 0725-56-2895


川柳句会というのは、経験をつんだ人が上位に入るとは限りません。
ですから俳句、短歌、都々逸、連句など他の短詩型の方々のご参加もお待ちしています。
また川柳をはじめたばかりの方も大歓迎です。
私的には、川柳六大家系のグループの方にもお越しいただきたいです。
スタイルは違えど小池正博さんは本気で川柳を発信し、川柳の公を意識されていますから、おなじ川柳家として共鳴するものがあると思いますし、参考にもなると思います。

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posted by 飯島章友 at 21:46| Comment(0) | お知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月17日

サスペンス読み

短詩の句歌会では「お題」というものがありますよね。ある題にしたがって皆が作品をつくり、ゲームとして優劣を競うわけです。


でも、句歌会だけじゃない。「読み」にもお題ってあると思うんです。こういう方向性でこの作品を読みなさい、とあらかじめ決めておく読み方です。これは、作者の意向と違ってしまうことが多いので、句歌会という公の場では遠慮したほうが良いでしょうね。ただ、一人もしくは仲間内だけの限られた空間でやると面白いんです。


かく言うわたしは「サスペンス読み」というのを独りでよくやっては楽しんでいます。短詩って限られた情報量しかないから、読み方に「サスペンス」というお題があると、まったく印象が変わってしまうのです。それが面白い。


例を挙げますね。

サスペンス読みとしての推し歌≠ヘ次の作品です。


いつかふたりになるためのひとりやがてひとりになるためのふたり  浅井和代


どうでしょう、サスペンス読みにぴったりじゃないですか?

この歌は俵万智著『あなたと読む恋の歌百首』(朝日新聞社)に収録されているように、本来はミステリーと無関係な内容だと思うのです。でも、読み方しだいで読み手にサスペンスをおぼえさせる。


もう一例。この作品はミステリーの冒頭としてぴったりじゃありませんか? 佐藤弓生著『モーヴ色のあめふる』書肆侃侃房)からです。


縊死、墜死、溺死、轢死を語りたり夕餉の皿に取り分くるごと  佐藤弓生



2018年04月16日

小野善江「丼から牛が」を読む

今年4月の「今月の作品」は小野善江さんの「丼から牛が」だった。


4回転ルッツ 丼から牛が


むかしのプロレスラーは今の選手よりも関節技を多用した。だが、むかしのファンの大半は吞気なもので、どうすれば関節が極まるのか、どこがどう痛いのか、そしてもし一線を越えたらそれがどれほど危険な技のかを知らずに観ていた。おなじように、わたしはフィギュアスケートのジャンプが各々どのように違い、どのように凄いのかを知らず観戦してきた。よく耳にする「ルッツ」という技もよく分からない。そこで日本スケート連盟のサイトで調べてみた。


アクセルの次に難しいとされるのが、ルッツジャンプです。

ルッツは、少し長めに左足の外側エッジに乗って後ろ向きに滑走し、左肩をぐっと入れて右のトウをついて跳びます。滑走で描いてきた軌跡と反対の回転をかけながら踏み切るので難しいとされるジャンプです。


文だといまいちイメージしづらいが、滑走のカーブとは逆方向に回転ジャンプするということだろうか。足に負担がかかりそうだ。ついでに時空も歪みそうだ。ちなみにドラえもんには「逆時計というひみつ道具があった。



永遠はやって来なくて浄め塩


日本語の「もの」という言葉は、多様なニュアンスをもっている。現代人は通常、質量のある物体を「もの」というばあいが多いと思う。でも「老いては子に従うものだよ」「ものが分かっちゃいねえな」なんて使い方もしている。このばあいの「もの」は、〈道理〉といったニュアンスだ。そしてその〈道理〉は日本人のばあい、ときに〈空しさ〉の認識とつながることがある。大伴旅人の「世の中は空しきものと知る時しいよよますますかなしかりけり万葉集・5793)での「もの」はその好例だろう。


空しさ、つまり永遠などやって来ないのがこの世の〈道理〉だ。それなのに日本人は塩という「もの」で邪気を払い、浄化する日々をくり返す。〈空〉は必ず訪れると分かっていながらも。



しあわせは少し退屈ヒヤシンス


なぜ「ヒヤシンス」なのだろう。わたしが思いつく限りでいうと、ここでの「ヒヤシンス」には二つの効果がある。


第一に、やはり音の響き。上掲句では「ヒヤ(冷)シンス」の響きが「しあわせは少し退屈」の意味を方向づけているドラマ「警部補 古畑任三郎」に、古畑の部下の今泉慎太郎が「今夜はとってもヒヤシンス 明日は雪がフリージア♪」と、歌い踊りながら花を活けるシーンがあったのが思い出される。


第二に、「ヒヤシンス」に現代人の姿が重なってくる効果があるように思う。わたしたちが目にする「ヒヤシンス」は、主に園芸・鑑賞用に育てられたものだ。人為によって快適な環境で育てられた「ヒヤシンス」は、文明の産物を空気のように享受している現代人と似ている。


幸せの「幸」も、Happinessの「ハップ」も、〈思いがけない恵み〉という原義がある。現代人は、この時代に生まれ得た〈思いがけない恵み〉のために、過去のどの時代よりも便利で安全で快適な環境にありつけている。その意味ではじぶんたちを「しあわせ」と感じておくのがひとまずのマナーだろう。しかし現代人が、過去のどの時代の人間たちよりも「しあわせ」を感じているかどうかは疑わしい。なぜなら現代文明の産物は、じぶんたちが生まれる前から当たり前のものとして存在しているため、文明の産物にありつけている状態を〈思いがけない恵み〉と感じる必要がないのだ。したがって、じぶんたちを「しあわせ」と感じる必然性も乏しいのだ。そうであるなら、現代人やヒヤシンスが「しあわせは少し退屈」と感じてしまうのも当然の成り行きといえるだろう。


……今日の大衆人の心理図表にまず二つの特徴を指摘することができる。つまり、自分の生の欲望の、すなわち、自分自身の無制限な膨張と、自分の安楽な生存を可能にしてくれたすべてのものに対する徹底的な忘恩である。

『大衆の反逆』(オルテガ・イ・ガセット 神吉敬三訳/ちくま学芸文庫)

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posted by 飯島章友 at 00:00| Comment(0) | 今月の作品・鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月03日

今月の作品 樹萄らき「ガラス越し」を読む

樹萄らきさんという、名前に惹かれます。ぼくの名前も相当へんですが、この方の名前も相当です。ですので勝手に親近感を抱いております。

   過去かなあ負けてもいいやべらんめえ

なにか作者には不都合な過去、忘れたい過去があったのでしょう。恋愛のもつれかもしれません。「負けてもいいや」と自嘲的に言い捨て最後にべらんめえと吐き捨てています。「べらんめえ」とは江戸っ子が喋る言葉ですが、なかなか耳にしません。恐らく作中人物も江戸っ子ではないのでしょう。「負けてもいい」と言いながら実は負けたくない気持ちが、この「べらんめえ」から伝わってきます。冒頭の一句として非常にインパクトがあります。

   眼鏡をずらすやはり正義はないな

「べらんめえ」の句と違って、今度は「正義はないな」と吐き捨てています。恋愛関係の破局のうえ、他人に恋人を盗られた場面なのでしょうか。眼鏡をずらす、という行為は目の前の行状に納得いかず、もしかしてレンズ越しで見えているものは現実ではなく、まぼろしかもしれんと、改めて肉眼で確認したところ、やはり現実であったと。

   もはやこれまで言いたいことがございます

言いたいことが言えず、ずっと黙って内に溜めていたものが、なにかのきっかけで口に出ることが多々あります。ただその場合、喧嘩腰になってしまうところを自分を抑えて丁寧な口調で相手に伝えるところが憎いですが、面と向かって言われたら怖いです。

   何度目の煮え湯だろうか飲む進む

作中人物は相当つらい人生を送ってきたのでしょう。いい人過ぎるのも罪ですね。最後に進むと前向きに終わっています。見習わないといけません。


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posted by いなだ豆乃助 at 19:32| Comment(1) | 今月の作品・鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月01日

ガラス越し   樹萄らき


過去かなあ負けてもいいやべらんめえ

ウロコ形感情線が増え独り

くちびるの弾力コーヒーは麻薬

眼鏡をずらすやはり正義はないな

耳元で叫んでT・Mレボリューション

着物の裾からちょいと足出す蛸

もはやこれまで言いたいことがございます

何度目の煮え湯だろうか飲む進む



【ゲスト・樹萄らき(じゅどう・らき〉・プロフィール】
1965年10月18日生まれ
長野県伊那市在住
1995年より「川柳の仲間 旬」所属
2017年 「川柳サイド Spiral Wave2」



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ガラス越し.gif



posted by 飯島章友 at 00:00| Comment(0) | 今月の作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする