2015年03月23日

勇気のための川柳処方箋44 こうやってこうやって、ここをこんなふうにして、こういうふうに裏返してみる。


しかたなくわたしをぜんぶ裏返す  長谷川維乃理

   *

M なかはられいこさんが選者をされている東海柳壇から維乃理さんの一句です。

Y この東海柳壇って丸山進さんがよくブログで紹介されているんですが、おもしろいんですよね。そういえば、なかはらさんは名古屋の短詩シンポジウムでもこの東海柳壇に触れ、これまで川柳をされてこられなかった方もホームランを飛ばす場合が多くておもしろいとおっしゃっていたのが印象的でした。

M この句、うらがえしてしまっちゃってますがどうでしょうか。

Y 「裏返す」でとつぜん漢字表記になっているのがおもしろいですよね。ああ裏返ってるなってわかりますものね。

M 「ぜんぶ裏返す」ってそうなるんでしょうね。表記も変わらざるをえないような。

Y 「しかたなく」っていうのもおもしろくないですか? ほんとは本意じゃないんですよね。しかたなく、だから。できるならそんなことはしたくない。やらないですむなら裏返さないにこしたことはなかった。しかしやむをえない事情があった。だからわたしをぜんぶうらがえすことになった。わりと濃厚な事情がこのたった17音からわかりますね(笑)

M しかもこの句って、発話ではないですよね。心内語のような形式ですから、あいてには、「いいよいいよ、しかたないじゃんね」ってライトなかんじで裏返りつつ、こころのなかで「しかたなし! せんかたなし! やるせなし!」って思ってる場合ありますよね。

Y 17音ってそうかんがえると饒舌ですよね。定型っておしゃべり抑制装置だとおもってるんですが、でも長い長い冒険のようなきもしてきた。遙かなる山脈をのぼってゆくような。

M だから、わたしたちがしてることは、17音で終わっていることをさらにそこにことばをつけたすんですから、野暮ですよね。とても。こういう行為は。

Y そう、おもいます。野暮だって。

M こないだ、ふを投げつけられましたもん。去ね!っていわれて。

Y ふ? 食べる麩(ふ)? 去(い)ねっていわれたんですか。

M ええ。おしゃべりは去ね! と。そして、ふを投げつけられた。

Y (この話、どうやって裏返して終わりにしたらいいんだ……維乃理さんの句のように……ぜんぶうらがえすには……かみさま…)

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posted by 柳本々々 at 14:02| Comment(0) | 柳本々々・一句鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする