2016年04月03日

私がなりたかった貝:200字川柳小説  川合大祐

朝が来て、妻が蛤を付けていた。ニュースでは、アナウンサーが蛤を付けていた。偉い国会議員があんまり偉くない言動をして、頭を剃りあげて謝罪していたが、蛤を付けていた。生活苦のあまり生活保護を受けて批難されているロックンローラーが蛤を付けていた。パソコンを開くと、どいつも#のあとにずっと蛤を付けていた。町へ出た。行き交う人みなが蛤を付けていた。全く世の中はなっていない。俺はラディカルな浅蜊派なのだった。

 蛤のはげしく見開いている  八上桐子(「この春の」より)

posted by 川合大祐 at 00:00| Comment(2) | 川柳小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする