2016年07月03日

アット・ホール:200字川柳小説  川合大祐

穴があった。米国エリア51から7万キロ離れて、穴があった。ある者は、これはナゴヤドームがあった跡だと主張し、ある者は、これは神々の痰壺だと主張し、またある者は、そもそもこれは穴でさえないのだと主張した。様々な主張が交錯するなか、ついに武器を手に取る暴徒まで現れた。一触即発のバリケードの間を、ひとりの人間がやって来て「すみません、それは私の鼻の穴でした」と穴を拾って去った。穴のあとには穴が残された。

  すみませんそれは私の鼻の穴  徳永政二(「かんにんして」より)

posted by 川合大祐 at 00:00| Comment(0) | 川柳小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする