2016年07月24日

大人に変わる:200字川柳小説  川合大祐

そもそもろくな思春期を送っていない。恋人どころか、友人さえもできない男子高校生だった。良くある話だ。良くある話だが、他人と違うのはUFOを持っていたことだった。よく夜中に一人で飛ばした。銀色の豆粒大が、朝焼けに溶けてゆくのを今でも忘れない。それがある日、深夜の居間で見失った。「これは仕方がないよね」と麻痺した頭で思い、大人になった。昨日、引出の裏から出て来た。乾電池はどこにも売っていないのだった。

  引き出しの裏に落ちていた思春期  久保山藍夏(「川柳裸木3」より)

posted by 川合大祐 at 00:00| Comment(2) | 川柳小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする