2016年12月04日

大・切・断:200字川柳小説  川合大祐

いったいこれは何だ。いや言うな。わかっている。別に判じ物をしたいわけではない。ただこの「文明堂」と書いてある箱から出した直方体は何かと聞いている。黄色い物体の下に黒ずんだ皮の乗っているこれは何だ。何。裏返し。それを早く言え。裏返してみたがさっぱりわからない。何。「カステラ」と言うのか。初めて知った。思ったのだがこれはあれか。よく切断されて出てくるあれか。ならば切って出せ。何。切った。これは 何だ。

  カステラに切り目 矜持は棄てたのか  いわさき楊子(「川柳 裸木4」より)

posted by 川合大祐 at 00:00| Comment(2) | 川柳小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月01日

遠浅の夜   西田雅子


月光をリボン結びにする聖夜

ピリオドかコンマか月のひとしずく

潮風にほどかれてゆく夜の横顔

断崖を月日も花もこぼれ落ち

遠浅の夜を二つに折りたたむ

降りてくるもの待つタラップ冬すみれ

水たまり昨日の月が座礁する

はじまりか終わりか夜明けの号砲



【ゲスト・西田雅子・プロフィール】
京都市在住。「現代川柳新思潮」正会員。ミニ句集「ペルソナの塔」。


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遠浅の夜.gif
posted by 飯島章友 at 00:00| Comment(0) | 今月の作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする