川柳とは不思議な詩型である。
そもそも川柳という名称もなんだかよくわからない。川柳という名称は人の名前から来ている。例えていうと俳句を芭蕉というようなものである。実にヘンテコだ。名称の由来となった初代柄井川柳という人は川柳の名作家という訳ではなく、ただの選者である。これまた意味がわからない。関係ないが落語の世界に〈川柳川柳〉という噺家がいて、〈せんりゅうせんりゅう〉とは読まずに〈かわやなぎせんりゅう〉と読む。川柳をやっていると妙に引っかかる名前である。
またまた話は変わるが、川柳というものは575定型が一般的である。これは俳句でも同じであるが、川柳には575だけではなく、77というものもある。77の形式のものは武玉川調とも十四字詩ともいう。武玉川調の名前の由来は『誹諧武玉川』という江戸時代中期の付句集から来ており、同書には575と77という長句と短句が含まれている。武玉川という名称もこれまた独特である。川柳といい武玉川という名称は芸術至上主義者からみると嫌悪感を覚えるかもしれない。ただこの訳の分からないところが川柳の良さではないかと考える。
さて、本間かもせりさんの今月の作品であるが、見事に全句武玉川(もしくは十四字詩)形式である。575に比べて文節が2つしかないので575に慣れている人からみると妙な違和感をおぼえるものだが、ハマると心のどこかにひっかかる。それが非常に刺激的で興奮するのだ。
添付ファイルをカフェに忘れる
私事ですが、よくモノを忘れます。カフェや飲み屋やレストランでいろいろなものを置き忘れてきましたが、さすがに添付ファイルだけは忘れたことはありません。これを忘れてしまうとは作中人物はさすがです。
脱ぐのが早いほうが容疑者
私は脱ぐのは早い方なので、容疑者になるかもしれません。いったいなんの容疑者でしょうか? 姦通罪かもしれません。恐ろしい世の中です。
謙虚なひとは球根になる
先日イヌサフランの球根をイモと勘違いして食べてお亡くなりになった80代女性の人がいたと、ニュースで知りました。球根は毒にもなりうるのです。謙虚なひとは尚更です。
歌を忘れたMiG-21
ソビエト連邦が誇る名機は何故に歌を忘れたでしょうか? 1976年に ベレンコ中尉が日本に亡命した際に乗っていたのはMiG-25でしたので、もしや先に亡命した弟を思って悲しんだのかもしれません。ところでミグ21の正式表記はMiG-21なのですね。川柳やっているといろいろ勉強になります。
色々心惹かれる句ばかりでこれを書いている私も楽しくなります。
このように575だけが川柳ではないのです。575に縛られず77にも目を向けてみませんか。
2018年08月08日
2018年08月03日
「川柳スパイラル」3号発行
「川柳スパイラル」第3号が発行されました。
特集は【現代川柳にアクセスしよう】。現代川柳に興味をもったばかりの方には便利な特集だと思います。
また今回の【小遊星】は、森山文切さんにご登場いただき、「伝統川柳」の世界について伺っています。
今号の「五つの現代川柳」の中で小池正博さんは、川柳を5つの面から書いています。それは、サラリーマン川柳、時事川柳、伝統川柳、私性川柳、過渡の時代の川柳、です。分かりやすいように敢えて極端な言い方をこれからしますが、川柳って、各人がどの川柳に出合うかで川柳観がまったく違ってしまうジャンルだと思います。歌壇だと、たとえスタイルが違っていても、歌論を交わせるだけの共通項はそこそこあると思う。でも川柳の世界は、別のスタイルの書き手と柳論を交わすことがとても難しい。川柳の基盤が違いすぎて、言葉が通じないのですね。
でも森山文切さんは、今までの伝統川柳の方とは良い意味でタイプが違っていたので、スムーズに会話することができました。じぶんが長年、伝統川柳に抱いていた分からない点にも冷静に答えていただき、少なくともわたしにとっては、たいへん有意義な記事となりました。感謝!
【川柳スパイラル3号・内容】
・巻頭写真 入交佐妃
・渦へのアクセス 小池正博
・同人作品Spiral Wave
・【特集】現代川柳にアクセスしよう
現代川柳発見 飯島章友
二字の彼方に―前提を超えて 川合大祐
川柳を描く。と何かいいことあんですか? 柳本々々×安福望
五つの現代川柳 小池正博
・会員作品Plastic Wave
・現代川柳あれこれ Biotope 小池正博
・GAKKOの川柳な人たち 月湖
・【リレーエッセイ】お蚕さま 畑美樹
・小遊星 第3回 飯島章友×森山文切
・本格川柳小説 PARTV 川合大祐
・おしまい日記 第3回 柳本々々×安福望
・妄読ノススメ 兵頭全郎
・川柳スパイラル・東京句会
・大阪句会
・投句規定・合評句会案内
・編集後記
川柳スパイラル