2018年11月03日

現代川柳ドリル9 見逃してやるからAを持ってこい構文/柳本々々

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【例句】見逃してやるからサメを持ってこい/樹萄らき

【適当句】見逃してやるから雲を持ってこい 

【別解適当句】見逃してやるから桃を持ってこい

【ポイント】
*らきさんの句は見逃してもらおうと持ってこようとする過程で、サメに殺されてしまうかもしれないところがいい。
*ちょっと無理そうなものを持ってこさせるのもいいが、持ってこられそうなものをあえてあてはめるのも不思議なかんじがでる。別解参照。
*2音なのでドリル的にはいろんなふうにかんがえられる句。ここからはじめてみてもいいかもしれない。


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現代川柳ドリル8 だからXになったのよ構文/柳本々々

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【例句】だからサバの煮込みになったのよ/山口ろっぱ

【適当句】だからバナナプリンになったのよ

【普通句】だからあなたは下手になったのよ

【ポイント】
*構文からかんがえてみると、川柳はいかに人外になるかをいろんな構文、手段を使ってかんがえているようにもみえる。人外化、メタモルフォーゼ。はやく人間以外になりたい。妖怪人間の願望の逆。
*一般的な口語、ふだんのなにげない発話の名詞が交換されることで、マジックが起きるのが川柳。ドリル的思考。ふだんのことばは普通句参照。
*そうかんがえてみると川柳というのは、パラレルワールドをかんがえる世界ということもできる。「おにぎりが勝手に散歩する世界/小池正博」
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現代川柳ドリル7 けどちょうどあなたはXです構文/柳本々々

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【例句】けどちょうどあなたはファミマのチキンです/きゅういち

【適当句】けどちょうどあなたは死んだKなんです

【ポイント】
*きゅういちさんの句にあるように、あなたは「チキン」です、と断定しながらも、「ファミマの」と限定するとおかしみとかなしみとリアリティが出てくる。ここでは「あなた」が「チキン」と断定されながら、「チキン」も「ファミマのチキン」と断定されている。「チキン」を見つけたときにさらにどういう「チキン」を発見するか。
*「けど」といういったん、でもですね、とひっくりかえしながら、「ちょうど」というどまんなかをついてXがくる。その「けどちょうど」とのバランスがむずかしめ。
*犯人を指摘するときのように刑事コロンボや古畑任三郎のようにこの句がいえたらいい。
*こういう穴埋めドリル的にかんがえると川柳はミステリーにちかい部分もある。
*川柳は、あなたは誰なのか、を探求する文芸ともいえる。あなたやわたしというXをずーっとかんがえる文芸。
posted by 柳本々々 at 09:35| 柳本々々・一句鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

現代川柳ドリル6 はっきりと思い出せないX構文/柳本々々

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【例句】はっきりと思い出せない猿の足/樋口由紀子

【適当句】はっきりと思い出せない力士の目

【ポイント】
*むずかしめ。そもそも思い出せそうで思い出せそうもないものを穴埋めするので、わりとむずかしい。しってて・しらないこと。じぶんの内部、なにをおれはわすれていたんだっけなあ、なにをおもいだせそうなんだっけなあ、に降りていくひつようがある。
*そういうふうにかんがえると、川柳は、思い出せそうで・思い出せないなにかをさがす、わすれてたのに・わかってたことをさがす、じぶんのなかに降りていく精神分析的なものかもしれない。
*特に樋口さんの句は、自分や世界がふだん忘れていたものをさがしあてるような精神分析的な句がおおいかもしれない。
*これは俳句が唯物的で、川柳が唯心的なところにもちょっと似通っているかもしれない。「猿の足」はモノなんだけれど、それが「思い出せない」に回収されることによって、こころの問題、なにか大事なものを忘れていることの喩え、唯心論になっている。
*川柳がどうしてカオスなのかといえば、それは精神分析だからです、と答えることもできる。
posted by 柳本々々 at 07:46| 柳本々々・一句鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

現代川柳ドリル5 AはBに似ている絶対似ている構文/柳本々々

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【例句】妖精は酢豚に似ている絶対似ている  石田柊馬

【適当句】ピーマンは汽笛に似ている絶対似ている

【ポイント】
*ちょっとあたまをクレイジーにしてAとBをできるだけ離してみよう。不思議の国の帽子屋になったようなかんじで。アリスに話しかけるようなかんじで。
*でも「わたしは恋人に似ている絶対似ている」とかそういうストレートな想いでもそれはそれでいい。だれも否定できない。
*小池正博さんは、川柳は断言の文体、と言っていたが、この句にはその断言の究極のかたちがあらわれている。
*劇作家の岩松了さんは、表現とは、みんながポストを赤い、というなかで、それでも、ポストは青い、ということだと言っている。つまりちょびっと狂気。
*この句をみていると川柳はベーシックな部分でカオスなんだなあとおもう。でもそのカオスを支えているのが構文。川柳は、コンテンツはカオスで、そのコンテンツを支えるメディアはコスモス。混沌と秩序。


posted by 柳本々々 at 07:25| 柳本々々・一句鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする