「Picnic」1
発行日 2020年11月1日
編集 野間幸恵・石田展子
発行所 TARO冠者
定価 ¥1000
5・7・5作品集「Picnic」No.1をいただきました。参加者は中村美津江、木村オサム、月波与生、樋口由紀子、松井康子、梶真久、大下真理子、あみ こうへい、榊陽子、広瀬ちえみ、石田展子、野間幸恵の各氏です。同集は俳人と柳人が一緒に参加しています。
マジシャンの鳩を並べる仮眠室 月波与生
「マジシャン」「鳩を並べる」「仮眠室」の相乗効果によってリアル「感」が出ています。「リアル」感よりもリアル「感」が大事。
うどん屋で振り向いたのはオペラ歌手 樋口由紀子
江戸川柳っぽい意外性とリアル「感」があり、とても好きな句です。
九州と四国の間にエビフライ 〃
確かにエビフライがいいと「感」じられます。ミニトマトでは駄目。
時間より零れる魚と日曜日 梶真久
流れの水嵩が増しているのでしょうか。「魚」と「日曜日」がこぼれてしまう。
しあわせにすると言うコロッケのくせに 広瀬ちえみ
コロッケのくせに生意気だぞ。なのに、あれ、へんだな、目からジャガイモがぽろぽろこぼれてくるよ。
どこまでも遠浅だった市川雷蔵 石田展子
市川雷蔵の存在「感」をうまく捉えています。「どこまでも」が的確。ちなみに、わたしは「陸軍中野学校」シリーズが好きです。
詐欺師かもしれない月の匂いして 野間幸恵
だから『竹取物語』だって裏読みが必要。
同集はスパイラル綴じで、作品はすべて横書きになっています。短詩の世界での横書きはまだまだ珍しいかも知れませんね。
誰が言ったか忘れましたが、短歌を作ったら縦書きと横書きの両方で確認するとよい、と。確かに縦と横では歌の印象が違うんです。縦書きを横書きに直して読んでみると、漢字の多用が気になったり、文末の体言止めが気になってきたり。逆に、横書きを縦書きに直して読んでみると、動詞で終えた文末が無骨に思えてきて、助動詞を添えようという気持ちになったり。余談でした。