2015年07月26日

「風」97号

川柳雑誌「風」97号
編集・発行 佐藤美文

今号の「風」誌は第十六回風鐸賞の発表号。
この賞は「風」の年度賞にあたる。

風鐸賞は、十七字と十四字に関係なく最優秀三点(一名)、優秀二点(一名)、佳作一点(二名)、合計四名が複数の選者によって選ばれ、その集計された得点で正賞・準賞が決められる。
その結果、正賞が林マサ子(十四字詩にて)、準賞が齊藤由紀子(十四字詩にて)と決まった。
選者は木本朱夏、雫石隆子、新家完司、津田暹、成田孤舟の5名。

選評にて雫石隆子は、「川柳誌『風』の年度賞は、十四字詩と十七音字の作品の二通りがある。形式の違う作品の提出は、全国唯一のことであろう」と述べつつ、「ただ、選をする立場からすると難儀なことでもある」とも。
たしかにこの賞は、俳句と川柳の合同句会にも通じる他流試合的な要素があって、選者はたいへんだと思う。
だが、プロレスリングの興行でたまに異種格闘技戦が行われると面白いように、こういう賞もあった方が変化に富むのではないだろうか。

ちなみに川柳界には、選考委員の討議を経て大賞や次席を決める賞がまだないように思う。
短歌新人賞では、たとえ獲得点数が二位の連作でも、選考委員の討議によって大賞に繰り上がるケースはよくある。
川柳の選はむかしから、選者〈個人〉の識見にゆだねられるのが普通だというのは承知しているが、ひとつくらいは最終的な討議のすえ決まる賞があってもいいと思うのだが、いかがだろうか。

では、大賞と準賞各10句から3句だけ抜粋させていただく。

 千回鳴いて楽になる蝉   林マサ子
 展翅板から蝶のためいき
 座右の銘の小骨抜かれる

 春がゆらゆら夢はふらふら   齊藤由紀子
 虹の欠片を探す本棚
 薄のひげで月をくすぐる



さて、今号は第二十四回十四字詩誌上大会発表号でもある。
課題「人柄」、若月葉選の特選はつぎの句。

 どん底で知る真実の友   坂本嘉三

課題「肩」、村田倫也選の特選はつぎの句。

 河童の肩に青いほつれ毛   国吉真弘


最後に、会員作品欄の十四字詩「風鐸抄」からすこし抜粋。
なお、「風鐸抄」は佐藤美文の選を経ている。 

 五月の風で解く守秘義務   井手ゆう子
 ひとりあそびの好きな太陽   森吉留里惠
 マグリットからもらう雨傘   林マサ子
 届くメロンの箱が高そう   小倉利江
 高くなるから越えぬハードル   戸田美佐緒
 牽制球を投げる隣国   神野きっこ
 地図を持たない街の信号   伊藤三十六
 觔斗雲にも春の気まぐれ   佐藤美文
 ラララ皮むき消えた人参   中島かよ
 スタバが来ても街はお静か   渡辺梢
 ポストの音にあったときめき   齊藤由紀子
 縫い目を抜ける徘徊の母   瀧正治


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posted by 飯島章友 at 10:00| Comment(0) | 柳誌レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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