2015年08月06日

木曜日のことのは蒐集帖 F  遅れはじめる時間

林檎をおくと遅れはじめる時間    内田万貴 (川柳木馬 第145号)

甘美な、と思う。

いやな時間は遅くすぎるという。
でも「遅れはじめる」というのは日常がゆらぐこと。
琴線が引かれて、たわんで、おおきく揺れようと息をとめている。

目の前には林檎がある。みずからおいた林檎だ。
林檎は原罪や知恵やさまざまなことを象徴すると考えられているけれど、ここでは純粋にうつくしいかたちの果実。
恋う気持ちの、よりしろのように。

時間は、出来事や変化を認識するための基礎的な概念である、と辞書にあった。
日や月や数字は認識を助ける目盛り。
時間が遅れはじめるとき、目盛りはふわふわとただよい、時計は溶けはじめるのだろうか。


posted by 飯島章友 at 23:30| Comment(0) | 木曜日のことのは蒐集帖 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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