2015年08月09日

真夏の卒業式:200字川柳小説  川合大祐

「こうやってみんな大人になるのよ」と母は言った。ヒノマル食堂で、隣席の餃子が弾けるのを見た帰りだった。飛び出した「それ」は青く、赤く、ぬめぬめとして、牙で注文した子供を噛み砕き、成長した人になると店を出て行った。泣いた。せめて自分の時はオムライスにしようと思った。時が来た。匙を入れた。黄色い卵を破いた。何も、出て来なかった。ああ、自分はもう大人になっていたのだと解った。炒められたライスが赤かった。

  オムライスみんなこわくはないのかな  飯島章友(『川柳カード』第9号より)

posted by 川合大祐 at 00:00| Comment(0) | 川柳小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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