2015年08月14日

「川柳カード」第9号 B

「川柳カード」では毎号特集を組んでいる。
今回の特集は「若手俳人は現代川柳をどう見ているか」。

ゲストとして俳人の久留島元さん、中山奈々さん、西村麒麟さん、松本てふこさんの文章が掲載されている。
何とも贅沢で素敵な特集だ。
他分野の人たちが現代川柳をどう見ているかを知ることは、現代川柳を相対化し、ジャンルとしての位置や表現上の持ち味などを確認するという意味で、時に必要だと思う(逆に閉鎖的世界を保つことによって独特の表現が磨かれることもあるだろう)。

今回は松本てふこさんの文章に的を絞って話を進めていきたい。
わたしが川柳と出会い、作句し始めた当時のことをいろいろ思い出させてくれる内容だったからだ。

まず松本てふこさんは、川柳を初めて意識したのは、なかはられいこさんの朗読を聞いた時だと書いている。

 川柳を初めて意識したのはいつだっただろうか。大学生の頃にポエトリーリーディングをやる友人に連れられて様々な朗読のイベントに行ったのだが、そういったイベントのひとつでなかはられいこ氏の朗読を聞いた記憶がある。

わたしも川柳を初めて意識したのは平成15年(2003)年のマラソンリーディングだった(・・・・・・とイベント名を書いたりしているが、つい最近まで、わたしの短歌の先生である東直子さんが出演されていた短歌朗読会に行ったことがある、という頼りない情報しか覚えていなかった。おぼろげな記憶を頼りにそのときのイベント名をネットで調べたら、どうもそれは「マラソンリーディング2003」らしいということが分かったのだ)。
で、そのマラソンリーディングなのだが、歌人の中に混じって、川柳人のなかはられいこさんと倉富洋子さんが「WE ARE!」というチームで出演していた。

そのお二人の川柳朗読を聞いてわたしは、(これは17音の短歌だ)と直感的に思い、川柳という未知の短詩に惹きつけられた。
いやそれだけでない。
実際に作句してみたいとも思った。

それから6年が経過した平成21(2009)年、わたしは「バックストローク」(発行人・石部明、編集人・畑美樹)で川柳を書き始めた。
なぜ6年も空白期間があったのか。
それは、何といってもわたしの情報収集能力のなさが原因で、なかはらさんや倉富さんのような川柳が書けそうなグループを見つけることができなかったからである。
また、かりに川柳に携わっている人たちをコア層・ミドル層・ライト層に分けてみたばあい、首都圏では、娯楽として川柳を楽しむライト層が主流という感じがして、できれば文学性と娯楽性がバランスよく入り混じったミドル層の中で作句したかったわたしとしては、グループ選びに慎重になっていたのである(なのに気づいたら、コア層が中心のバックストロークに入っていた)。

さてさて、松本てふこさんはこんなことも書いている。

 俳句を鑑賞する時は「季語」「切れ字」「定型への意識」など、評価するポイントをはっきり決めていることが大半なのだが、川柳は何をポイントに鑑賞すればいいのか正直全く分からない。鑑賞文を読んでも感嘆したりみんな自由に読んでるんだな、と思うだけで学べない。

わたしも川柳を始めた平成21年当時、所謂〈詩性川柳〉を読むさいに、そのコトバの欠如感やコトバの飛躍に、鑑賞の取っ掛かりがつかめないことが多かった。
では、一読明快の所謂〈伝統川柳〉なら鑑賞できたかというと、然にあらず。
そこでは、短歌の入門書で戒められていた通俗的で類型的な発想を、575の定型で補強したかのような句が散見され、こちらも鑑賞の取っ掛かりをつかむことは難しかった。
それでも伝統川柳に関しては、大きな書店に行けば入門書が売られていたので、川柳三要素の味わい方だとか、月並と非月並の基準をどのあたりに想定しているかが理解できた。
それにたいして詩性川柳の方は、入門書らしい入門書を見つけることができず、仕方がないので実践をとおして作句方法や鑑賞方法を体得していくしかない状態だった。

詩性川柳の書き方を学ぶことは詩性川柳の鑑賞方法を学ぶことにもつながる。
とすれば、入門書の発行は今後の重要な課題となるだろう。
私的には、穂村弘・東直子・沢田康彦著『ひとりの夜を短歌とあそぼう』 (角川ソフィア文庫)のような会話形式の入門書が分かりやすくていいと思う。
たとえば小池正博と樋口由紀子が先生を担当し、柳本々々が司会兼道化を担当する本でもあればオモシロそうだけど、どうですか!

(あと少しつづく)

posted by 飯島章友 at 00:00| Comment(0) | 柳誌レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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