2015年08月16日

顎たち(複数形):200字川柳小説  川合大祐

鮫は兵器だった。機械の魚体に人間の脳。敵の艦船を捕捉しては、撃破することを使命としていた。なぜ私はここにいるのだろう。残骸の散らばる海の中で、考える時間はいくらでもあった。解らなかった。脳は初期化されており、スタンドアローンで作動できる状態になっていた。海は広かった。ある日、敵の鮫と出逢った。交わす言葉はなかった。長い緊張の後、二人は並んで泳ぎだした。その時初めて、ああ、孤独だったんだなと解った。

 ったく孤ったら鮫々ってルビふってある  中西 科(『おかじょうき』2015年4月号より)

posted by 川合大祐 at 06:00| Comment(0) | 川柳小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。