2015年08月20日

木曜日のことのは蒐集帖H ひしめいて

つゆだくや姫やわやわとひしめいて   榊陽子  (第58回川柳北田辺)

「ひしめく」ということばをはじめてきいたのはたぶん、「走れコータロー」だったとおもう。ひしめきあっていななくは、というひびきがふしぎだった。
そのせいかどうかはしらないけれど、わたしは「ひしめく」ということばを使いがちなのである。

掲句の「ひしめく」はおもしろい。
「つゆだくや」という言葉にひきずられてお椀を思い浮かべる。
ふたをあけると、お椀のなかにひしめいている姫たち。
やわやわと、というのだから、ひしめいているといってもさほど窮屈な印象ではなさそうだ。姫たちはおしあいへしあい、上機嫌でゆらゆら揺れている。
見たことがない眺めのはずなのに、ほんのりなつかしい。
連想は、フラワーロック、村上隆の花、草間彌生のソフトスカルプチャー(舟やソファをペニスを思わせる突起物でびっしり覆ったもの)とたのしく飛ぶけれど、やっぱりムーミンのニョロニョロ、かなぁ。
ニョロニョロの姫化。

「つゆだく」に切れ字「や」をあしらう。希少価値があるはずの「姫」を量産してキャラクター化する。「ひしめく」をやわらかなものにしてみせる。
くわだてごとの好きな作者である。

「ひしめく」を漢字で書くと「犇めく」だとおそまきながら知る。
馬ではなくて牛だったか。


posted by 飯島章友 at 00:00| Comment(0) | 木曜日のことのは蒐集帖 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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