2015年08月23日

固定:200字川柳小説  川合大祐

「釘を抜け」と老師は言った。「お前が世界を壊したいなら。世界の中心に刺さる、釘を抜け」そのまま老師は亡くなった。旅に出た。バックパックの底に釘抜きを忍ばせていて、いつ税関で没収されるかと怯えていたが、実際は山寺区周辺をうろちょろしていただけかもしれなかった。唐突に、釘はあった。頭を少し出して、錆びていた。迷い、迷い、迷い、抜いた。世界は当然のように続いていた。どこかから古釘の笑い声が聞こえてくる。

  古釘はどんどん錆びて声がない  吉平一岳(『柳都』平成23年11月号より)
posted by 川合大祐 at 06:00| Comment(0) | 川柳小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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