2015年10月02日

ママ・グランデの葬儀前:200字川柳小説  川合大祐

彼女が百歳を迎えた朝、目覚めると、顔面に痛烈な痒みが貼り付いていた。彼女は敷き布団を出た。四年前、ウォーターベッドにしたのだが、やはり寝心地が悪く、畳の上の布団に戻したのだった。それからまもなく、夫は百歳で亡くなった。おのれのせいかもしれない、とは思わなかった。今はそれより顔が痒かった。鏡に向かった。顔中に、水玉模様が出来ていた。夫は確か縞模様だった。私達は夫婦だったと思った。老衰死する朝だった。

  水玉の老衰よりも縞々の老衰よりも  瀬戸夏子(「のちのガルシア=マルケスである」より)
posted by 川合大祐 at 06:23| Comment(0) | 川柳小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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