2015年10月17日

誰かがそれを母と呼んだ:200字川柳小説  川合大祐

母がいなかった。地球を母にしようと思った。母なる大地と言うくらいだから。このガイアを愛した。砂漠で、ジャングルで、都市で、何度も地を抱きしめた。手に余るくらい大きかった。そして愚かだった。砂漠の砂は灼けつくように熱く、ジャングルの虫は伝染病を抱えていて、都市はあらゆるものを拒もうとした。これが母なのだろうかと、石壁にもたれて思った。母はモノではない。「母は……現象だ」。雨が地球に降りつづいている。

  母というおろかなモノに雨が降る  天谷由紀子(『白いみしん』より)

posted by 川合大祐 at 06:00| Comment(0) | 川柳小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。