2016年03月13日

精神の門:200字川柳小説  川合大祐

じゃあね、とイタコは言った。正確にはさらば愛しき人よ、だったかもしれず、まず、うー、たのしい。と発音した者はイタコなのか霊なのか判別に困る。そもそも誰の霊を呼び出したか解らないままに終わってしまって、なおいっそう霊場は霧の中である。たのしいそうですよと同行者が言ったが、それも誰だったか。イタコのおばあさんは枯木の体をしていて、立ちあがるとぼきり音がした。どこへ行くのですか、と訊こうとしたが、誰に。

  どこへ行くのか肉体に聞いてみる  桑沢ひろみ(「川柳の仲間 旬」No.203より)

posted by 川合大祐 at 00:00| Comment(0) | 川柳小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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