2016年07月10日

たとえようもなく:200字川柳小説  川合大祐

朝陽のような朝陽が昇った。毛布のような毛布から這い出て、蚊のような蚊を見ていた。遠くのような遠くから犬の鳴き声のような犬の鳴き声が聞こえてくる。カプセルホテルのようなカプセルホテルを後にした。まるで街のような街を歩いた。囁くような囁きがずっと続いていた。行かなければならなかった。駅のような駅で電車のような電車に乗った。この街に、比喩はないのだと知った。車両の人間が皆、人間のような顔をしていたから。

  足立区のような所に行きました  松木秀(「月刊おかじょうき」2016年6月号より)

posted by 川合大祐 at 00:00| Comment(0) | 川柳小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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