2016年11月09日

【ゲスト作品を読む】竹内ゆみこを読む柳本々々


それらしいものがようやく生えてくる  竹内ゆみこ

この竹内さんの連作はぼんやりしたものなかに生えてくる〈たしかさ〉の力学なんじゃないかっておもうんですね。

「それらしいもの」というぼんやりしたものがしっかりしたかたちで「生えてくる」。

ここには、あいまいさが「生える」という動きを与えられることでたしかさを手に入れるというプロセスがあります。

でも、考えてみると、連作のタイトルの「しりとり」ってそういうことじゃないかとおもいませんか。

わたしたちはぼんやり「しりとり」をはじめる。ぼんやりことばを続けながらも、あるたしかさがつながっていくことを感じてしまう。でもただ言葉がにていただけでつながっていくしりとりはなんのイメージもむすびません。「それらしい」ものでしかないのです。どれだけくりかえしても。

きっといい人ね端までやわらかい  竹内ゆみこ

そのぼんやりしたやわらかさのなかにやさしさがあるし、厳しさもある。「いい人」もいれば、「あなたでもなかった」ひともいる。

あなたでもなかった しりとりは続く  竹内ゆみこ

ぼんやりはやさしくて、きびしいんです。ぼんやりは、実はとってもはっきりしたものだから。ぼんやりはわたしたちをさまざまな世界に仮想的に連れ去って、価値観をそのつどたしかめさせるから。いいわるいも、あなただあなたじゃないもそうゆうことですね。

人生とおなじように、ぼんやりもつづくんです。長いぼんやりの航海が。ぼんやりはひとつの〈決意〉ですから。

うたた寝の長さよ戸籍謄本よ  竹内ゆみこ



posted by 柳本々々 at 21:18| 今月の作品・鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする