2017年12月13日

目を見てて目だけ残して消えますよ  東 李桃


 目を見てて目だけ残して消えますよ  東 李桃

「恒信風」第五号より。

わたしが川柳を作句しはじめた2009年当時、(ああ、こういう川柳を書きたいなあ……)と感じていた川柳人が幾人かいる。たとえば石部明さん。たとえば清水かおりさん。たとえば畑美樹さん。でも、川柳人以外にも参考にした書き手がいる。それが俳句同人集団「恒信風」で活躍されていた東李桃さんだ。

初見で、これは俳句なのか!? と驚いた。と同時にこういう川柳を作ってみたいという気持ちがわいてきた。このたわむれ感。この幻術感。そして、そこはかとなく対象への愛情が感じられる言葉遣い。この句から受けるそれらの印象が、当時のわたしにとっては川柳っぽさにつながっていった。

 引つかかつた時のかたちに乾く布

こちらも李桃さんの作品だが、こうなるといっそう川柳っぽい趣がある。内容や句意は違うけど「キリストのかたちで鮭が干しあがる」(菅原孝之助)という、ちょっと似た言い回しの川柳を憶えていたからかも知れない。

李桃さんが同誌に登場したのはこの第五号からのようで、まだ俳句に慣れていない感じがする。しかし、それが川柳を作句しはじめたころのわたしにとって、親しみやすさにつながったのだろう。おなじ五号には以下のような句もある。川柳をはじめたころが懐かしい。

組み伏してしまふ仏の顔をして   東 李桃
けんかごしの会話はじまる入道雲
くちびるの砂糖をどうぞかぶと虫
ゆびさきに火薬の匂ひ良い夢を
ラマの目の青年白い菊はこぶ



『恒信風』

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