
川柳雑誌「風」110号
編集・発行 佐藤美文
今号は、第十九回風鐸賞の発表号でした。選考委員は木本朱夏、雫石隆子、新家完司、津田暹、成田孤舟の各氏。正賞、準賞ともに十四字詩から選ばれました。
結果は以下のとおり。
■正賞 林マサ子(12点)
■準賞 藤田誠(5点)・齋藤由紀子(4点)
各応募作品の十句から、複数の選考委員が選評で触れている句を引かせていただきます。
なぞなぞ解けて蕾ほぐれる 林マサ子
哲学してる秋のカマキリ
手の鳴る方へ靡かない老い 藤田誠
好きな匂いに弱いたそがれ
無駄話にも栄養がある
天下無敵になれるおばさん 齋藤由紀子
いずれも人生や生活をリズム良く十四音に乗せていて、さすがという感じです。いま、わたしの知るかぎり、十四字詩(七七・短句)を前面に押し出している柳誌は「風」のみですが、今後、十四字詩の書き手が増えて新しい世代が出てくると、また趣の違う十四字詩が出てくるのではないでしょうか。私的には、林マサ子さんの「なぞなぞ解けて蕾ほぐれる」に、これからの十四字詩の方向の一端が胚胎しているような気がします。
十四字詩といえば、現在、本間かもせりさんが以下で頻繁に作品を発表されています。
七七句(十四字詩・短句)
十七音の川柳も未開拓なことが山積みでフロンティア精神が刺激されるのですが、十四音の川柳はその存在が発見されていないに等しい状態だと思います。ですから、これからこの分野をきちんと認識し、確認したうえで、どう開拓していくか。有志で話し合って戦略を練らないといけないかなと思っています。その意味で、かもせりさんのご活躍はとても刺激になっているのです。
参考
【短句】誹諧武玉川の短句と近現代の川柳十四音【十四字詩】@
【短句】誹諧武玉川の短句と近現代の川柳十四音【十四字詩】A