2019年04月26日

今月の作品 赤松ますみ「蟹の腹」を読む

不思議なタイトルの連作である。
連作中どの句にも食べ物や食にまつわる言葉が使われている。水ようかん、ジェラート、笹だんご、ミルクソフト、羽二重餅、蟹の腹。どれも触り心地のよいものである。
この辺り作者の言葉の選択は実に徹底している。

ただこのうち、タイトルにもなっている蟹の腹のみが異質である。
蟹の腹とはあの硬くて鎧のような甲羅ではなく、その反対側、俗にふんどしとも言われる三角形のところであろう。蟹を食べるとき、このお腹のふんどしに親指を入れて取り除くのが一般的である。このふんどしに指を入れるときのなんとも言えぬ感触は、これから味合うであろう味噌や卵の食感などと相まって、心は舞い上がることだろう。

さて、その句であるが

  自白する覚悟はできた蟹の腹

自白する覚悟はできたの後に蟹の腹である。これはどういうことだろうか。
何に対する自白か見当もつかないが、かなり強い意思を感じる。ここでたたみかけるように蟹の腹を持ってくるところに作者の美意識を感じる。
posted by いなだ豆乃助 at 21:42| Comment(0) | 今月の作品・鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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