2020年10月09日

川柳雑誌「風」118号/第21回風鐸賞正賞 本間かもせり

川柳雑誌「風」第118号
編集・発行 佐藤美文

今号は第21回風鐸賞の発表号でした。十七字と十四字の10句、どちらで書いても応募できる「風」誌の年間賞です。今回の正賞は本間かもせり、準賞は伊藤三十六と森吉留里惠、選考委員は成田孤舟、津田暹、新家完司、雫石隆子、木本朱夏の各氏。

受賞作を少し引用させていただきます。

 どのページにも待つ人がいる  本間かもせり
 逃げて逃げてと叫ぶ天気図
 となりの窓も窓を見ている
 二、三歩先を歩き出す季語

 
 片仮名の海に漢字を投げてやる  伊藤三十六
 人を食うことにも飽きた大欠伸

 メビウスの輪の見せぬハラワタ  森吉留里惠
 寂しくなると飛ばすミサイル

かもせりさんの句は、ただごと句、教訓句、老いの嘆き句といった、各川柳吟社で量産されている書き方におもねらない着眼点の良さと想像力があって、納得の正賞です。かもせりさんは、短句(「風」誌でいう十四字詩)を知ってもらいたいと積極的にTwitterなどで活動してこられた方です。いわば「公」の意識をお持ちの方です。かもせりさんには遠く及びませんが、わたしも世間に短句を知ってほしいと願っている一人なので、今回の報はまるでじぶんのことのように嬉しいのであります。

なお伊藤三十六さんはリアルで何回もお会いしていますが、とてもおもしろいおじ様です。森吉留里惠さんは『十四字詩句集 時の置き文』を発行されていて、こちらは電子書籍で読むことができます。

つぎに会員作品「風鐸抄」の十四字詩も引用させていただきます。

 耳に住み着く虻が百匹  坂本嘉三
 感染減らず揺れる吊り革
 梅雨が居座る家系図の中
 春の小川を慕う血管


先述したただごと句、教訓句、老いの嘆き句の流れに巻かれない書き方で注目しました。背景に老いの嘆きがあったとしても、それを川柳として「表現」なさっている。こういう方を見逃さないことがじぶんの役目だと思ったりしているのです。
posted by 飯島章友 at 00:00| Comment(0) | 柳誌レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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