2017年10月08日

そういうじだいでしょ。:200字川柳小説  川合大祐

がっこうからかえると、おかあさんが熊になっていました。熊というかんじをかけるのは、おかあさんが熊になるたび、ホワイトボードに「きょうは熊です」とかいておくのでおぼえてしまいました。熊は「ふっふっふ。ふっふっふ」といきをして、いまをうろついているので、あぶなくてしかたありません。たまにかみついてきます。さんぽにつれだすと、こうえんでころげまわります。いいました。「おかあさん、あたし、砂場になるよ」。

  母熊を連れ鉄棒にぶつかるよ  暮田真名(今月のゲスト作品「モアレ現象とは」より)

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2017年09月10日

めぐりゆく季節に:200字川柳小説  川合大祐

アホといえば坂田だが、『帰ってきたウルトラマン』のヒロインは坂田アキと言うのだった。惜しい。何が。夏。夏はもう過ぎてしまった。アホの、いやアキの坂田も番組途中でナックル星人に殺されてしまった。可哀相である。祭り。だから秋。郷秀樹、という冗談みたいな名の奴がウルトラマンなのだが、結婚したら郷アキである。語呂が悪すぎる。今回小説として体を成していないが、それを称してアホと呼ぶ。そーれそれそれお祭りだ。

  夏祭り体全体アホになる  池上とき子(「川柳の仲間 旬」No.213 より)

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2017年09月03日

だったんだ:200字川柳小説  川合大祐

猫の惑星があった。あいにくと猫座にはなかったが、そもそも星座という概念が猫の惑星にはないのだった。星は巨大な猫だった。縞猫だったのか三毛猫(だとすればおおかた雌だろう)だったかわからない。それでも宇宙空間に浮く眠り猫は、ときおり身をよじらせながら、あくびをするのだった。あくびのたびに、五重塔が倒壊するので、絶望した宮大工は首を縊ろうとした。深い森の一本の木。それが惑星猫の毛か、木かわからなかった。

  縊死の木か猫かしばらくわからない  石部明(「セレクション柳人3 石部明集」より)

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2017年08月27日

究極対至高:200字川柳小説  川合大祐

「何を食べたかじゃない。何を食べるのかが大切なんだ」と歯車式原子炉搭載の熱血教師が言うので、テーズ式留年中年の私型惰弱人間第28号もその気になった。気になったのものの、どうしたら良いのかがわからない。とりあえず「食べる」というのがどういう行為なのか調べてみることにした。調べてみるとなかなか奥が深い。走りながら、鳴きながら、世界を滅ぼしながら食べる。特に、夕御飯を食べながら食べるのが気に入って、秋。

  諏訪湖とは昨日の夕御飯である  石部明(『セレクション柳人3 石部明集』より)

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2017年08月20日

赤光メロンパン:200字川柳小説  川合大祐

町を歩く。雨の日はゴミ捨て場を覗きたくなる。昨日は雨だった。今日の空がどうなるかわからないから、積み上げられた古雑誌の束を引き抜く。アンドレ・ザ・ジャイアントの死亡証明書の長さ。暗い時代の人々のテント劇団。成立しないHAL9000と山本有三のコント。源氏物語が圧縮されたフライデー。旗本退屈男の去勢。だらしなかった宮本武蔵へお中元を贈るルーク・スカイウォーカー。たぶん明日は雨になって夏の町が終わる。

  きにすうのいにちぎおりわぢぐうわどせ  Sin(「月刊おかじょうき」2017年7月号より)

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