2017年04月02日

原子怪獣現る:200字川柳小説  川合大祐

「ドラえもんのひみつ道具に、「なんでもB級映画カメラ」というのがあったどうか知らないか。とにかく、これで撮ったような『細雪』だった。ひたすら飯を食い続けるし、巨大災害のスペクタクルもあるし、スカトロまである。日本文学の麗しさがこれでは台無しではないか」という投書が新聞に載った朝、彼は大学で乱射するための銃を磨いているところだった、という脚本を書いたが没だった、という夢を見なかったというオチである。

  きみもまたとおい霧笛をきくでしょう  山中千瀬(今月のゲスト作品「暮らしラッシュ」より)

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2017年04月01日

暮らしラッシュ   山中千瀬


だめだってゆうから大丈夫って訊いて

暴力のメソッドをお持ちなのね 雨

すぐとれるとんぼのあたましかたない

ゾンビになったら探そうゾンビのしあわせ

きみもまたとおい霧笛をきくでしょう

生活をパーティで割ってそっと飲む

階下からもにょもにょきこえとるテレビ

でもじつは少しも迷わずに来たんよ



【ゲスト・山中千瀬・プロフィール】
愛媛生まれ。率、怪獣歌会。
twitter:@bit_310


縦書き画像をご覧になるばあいは以下をクリックしてください
暮らしラッシュ.gif


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2017年03月31日

【お知らせ】「川柳杜人」253号・「川柳と遵法」

「川柳杜人」誌2017春・253号に、飯島章友の小論「川柳と遵法」を掲載していただきました。

高校生の時分から、秩序と自由の関係を考えることがわたしの主要テーマでした。秩序だけを一方的に追求すれば抑圧になり、自由だけを一方的に追求すれば放縦になる。近代って、このどちらか一方を過剰に追求した時期だと思うんです。では、その両側面を引き受けてバランスを取ろうという議論はないものなのか。そんなことをずっと考えてきました。これからも考えていくのだと思います。なので「川柳と遵法で何か書いてください」と杜人誌から依頼をいただいたときは、何か引き寄せるものがあったのかなあ、なんて思ったものです。

よろしくお願いします。

川柳杜人社


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2017年03月26日

ダウンワード・スパイラル:200字川柳小説  川合大祐

エメサ王国の祭祀場で死別して以来、魂はかの面影を求め、果てのない輪廻を繰り返し続けた。ある時は木村政彦対エリオの試合場で、ある時は銀河連邦の舞踊会議場で、かの面影を探し続けた。そのうちに気付くのだ。輪廻は円環ではないと。ある点から始まった線が、回転しながら垂直に上昇してゆくのだと。ならば、もう会うことは無いのだなと思った。だが魂は探し続ける。螺旋。そう螺旋だ。重要なのは連続だった。うんこのように。

  蚊取線香上のうんこ  二村鉄子(「川柳ねじまき#3」より)

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2017年03月19日

残酷!光怪獣プリズ魔:200字川柳小説  川合大祐

何もかもが透きとおった世界だ。海もビルも蠅も光を通過させて、ただ、その方向を屈折させている。光の分散はさらに分散し、結局は透きとおるだけになってしまうのだった。波打ち際に、魚が一匹流れ着いた。流線型の、黒々とした魚だった。冷たく、それは世界のすべてと同じだった。だが、この黒さは何なのだろう。体内に何かを秘めることのできる黒さは。腹に切れ目を入れてみた。溢れる内臓は、次から次へと透きとおっていった。

  魚の腹ゆびで裂くとき岸田森  なかはられいこ(「川柳ねじまき#3」より)

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