やぎもと さいきんじぶんの拙歌で描いていただいたやすふくさんのポストカードを部屋に飾ってみてるんですけど。こないだの個展で販売してた四枚の絵ですね。これは一度描いてもらったものの別バージョンというか、どれも二枚目の絵なんですけど、さいきんのやすふくさんの絵、手がこんでるよね。虎の絵のしましまなんかもそうだけど。やすふくさんはよく御前田あなたの絵をみて、シンプルに描くと、いいね、ってやっと評価してくれるんだけど。シンプルがすきなのはわかるんだけど、やすふくさんはだんだんシンプルじゃない方にむかってんのかなって。こないだの個展で宇宙の絵をみてたときもおもったんだけど。
やすふく ああ、ほんと。でもそうだよ。宇宙の絵とか時間かかる。星をね、白い絵具で点々かいてくのが時間かかるね。
やぎもと 時間性と奥行きが出てきたのかね。それともなれていって、おなじ時間でも手をもっとかけられるようになったのかな。
やすふく 絵の具ぬるのは一瞬な感じ。宇宙は時間かかるけど。苦痛ではないからできるね。
やぎもと それはなれたからでしょ。
やすふく なれたからかあ。
やぎもと わたしの拙歌で「すきなひとのすきなひと」の歌は2バージョン書いてもらったけれど、あとのにまいめのほうはこわくなってるね。とらでしょ。
やすふく そうね笑。こわいね。これだって、とらがこっちむいたら、死ぬよね。うしろむいたら。
やぎもと そうね。そうか。たしかにね。虎ってこわいねたしかに。ブローティガンの小説『西瓜糖の日々』でメルヘンな数学好きの虎が出てきて、両親をばりばり頭からメルヘンに食べちゃうけど。ちなみに中村安伸さんの『虎の夜食』って句集はじめてみたときそれ思い出したんですよ。どこか中村さんのあの句集のなかに挟まれた散文もブローティガンのような加工=仮構された世界を感じさせるし。
このやすふくさんのむっちりしたとらってふしぎだよね。こういうとらってあんまみないね。運動できるとらじゃないでしょ。とらをむっちり描くってあんまりみたことないなあ。ふしぎなとら。
やすふく そうだね笑
やぎもと やすふくさんはおなじ歌を二度目に描くときはこってこわくなってるね。「体育座り」の歌のも玉子サンドから結晶みたいなのになってるし。
やすふく ほんとだ、結晶もそうね。とらはね、ほとんどかかないね。
やぎもと ギャラリートークでこういう話すればよかったなあ。学校に行けなくなった話をふたりでしてたから。あれは、よくないね笑
やすふく そうね笑。まあでも学校に行けなくなるひとって意外にいるんじゃないかな。だからあれはあれでよかったのよ。
やぎもと 最後、すみませんでした、って謝って終わったけど笑。うーん。