樹萄らきさんという、名前に惹かれます。ぼくの名前も相当へんですが、この方の名前も相当です。ですので勝手に親近感を抱いております。
過去かなあ負けてもいいやべらんめえ
なにか作者には不都合な過去、忘れたい過去があったのでしょう。恋愛のもつれかもしれません。「負けてもいいや」と自嘲的に言い捨て最後にべらんめえと吐き捨てています。「べらんめえ」とは江戸っ子が喋る言葉ですが、なかなか耳にしません。恐らく作中人物も江戸っ子ではないのでしょう。「負けてもいい」と言いながら実は負けたくない気持ちが、この「べらんめえ」から伝わってきます。冒頭の一句として非常にインパクトがあります。
眼鏡をずらすやはり正義はないな
「べらんめえ」の句と違って、今度は「正義はないな」と吐き捨てています。恋愛関係の破局のうえ、他人に恋人を盗られた場面なのでしょうか。眼鏡をずらす、という行為は目の前の行状に納得いかず、もしかしてレンズ越しで見えているものは現実ではなく、まぼろしかもしれんと、改めて肉眼で確認したところ、やはり現実であったと。
もはやこれまで言いたいことがございます
言いたいことが言えず、ずっと黙って内に溜めていたものが、なにかのきっかけで口に出ることが多々あります。ただその場合、喧嘩腰になってしまうところを自分を抑えて丁寧な口調で相手に伝えるところが憎いですが、面と向かって言われたら怖いです。
何度目の煮え湯だろうか飲む進む
作中人物は相当つらい人生を送ってきたのでしょう。いい人過ぎるのも罪ですね。最後に進むと前向きに終わっています。見習わないといけません。
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