「入ってもいいですか」「いいですよー」ちつ 千春『てとてと』
たとえばこの句がちつが会話してる句とかんがえてみる。性にかかわることかもしれない。性にかかわることかもしれないのに、「いいですよー」とちつは元気だ。なんでちつは元気だったんだろう。「いいですよ」とか「いいです」じゃだめだったんだろうか。
どうして、「ちつ」は「いいですよー」と元気に返事したのか?
わたしは、「ちつ」はうれしかったんじゃないかとおもう。
入れても、じゃなくて、入っても、だった。あいては全身のきもちで話してくれていた。いいですか、とていねい語だった。ちゃんとおうかがいをたててくれた。「入ってもいいですか」には、わたしはあなたと会話をしたいんです、という意思がある。それが、ちつには、うれしかったんじゃないだろうか。
わたしは、この句は、性の句ではないとおもう。あなたと会話できたことがうれしかったという、うれしさの句なんじゃないかとおもう。だから、「いいですよー」と、ことばがつい伸びた。ー、って、うれしい、ってことだとおもう。いつも。いま、辞書で、「ー」を調べたら、うれしいときにつかうでしょあなたも? と書いてあった。