2015年11月20日

木曜日のことのは蒐集帖 15  2頭のライオン

本棚には肩をすぼめたワニが棲んでいる。岡山から越すことになったときいただいたフィギュアで、ちかるさんは動物の句をよく作るからと言われ、へえそうかな、と思った。そらで言えるのは「シロサイを煮沸しているなつのよる」「春愁百万の象匂い立つ」前者は岡山のらんまん句会、後者は今井聖×坊城俊樹の「こんじょう会」のときのものだ。たのしい句会だったので憶えている。ライオンは作ったことがなかった。ライオンなんてつまらない、ような、気がしていた。でもそうとは限らないようだ。
さて2頭のすてきなライオン。

ライオンはもっと泡に着替えておいで   瀬戸夏子(川柳スープレックス/2015/10/01)
「着替えておいで」というやさしい命令形。泡は仏像の天衣のようなものかな?びっしりとライオンで埋め尽くされたライオン曼荼羅を想像。どの個体も、他のものとは泡の量が異なっている。

どこへ行くのかライオンが歩いている   筒井祥文(川柳カード創刊号)
この句が合評会で読まれたとき、くんじろうさんが「勝手にゆうてたらええやん」と。そう、ライオンが歩いている理由なんてわからないし、それを問うている状況はまこと益体なし。その益体のなさがこの句の魅力。



posted by 飯島章友 at 11:00| Comment(0) | 木曜日のことのは蒐集帖 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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