
にいな 森山文基句集 - 森山文基
森山文基さんの第二句集『にいな』(川柳本アーカイブ)が1月7日よりAmazonで発売されています。第一句集『せつえい』は2020年3月29日の発行です。20世紀の短詩型の世界を思えばスピード感が違いますね。全部で153句収録されています。
会いたくて韓国海苔の油拭く
「油拭く」のは分かるけど、海苔だったら歯にも気をつけないと、なんてツッコミながら読んだ句。海苔と言えばこんなことを思い出します。仮面ライダーアマゾンのお兄さんの歯に青のりが付いていた回があるんです。ご存じでしたか? 焼きそばを食べたあとに撮影したんでしょうね。
砂像には粒になれない桜貝
短歌の抒情性に通じるような句です。
北口の守衛はいつも背が高い
書いてあることは報告調なのだけど、「いつも背が高い」とわざわざ書くところが変で、おもわず目がとまった句。こういうちょっとした違和が句の〈くびれ〉になるのでしょうね。何となく寺山修司の〈父と呼びたき番人が棲む林檎園〉を思い出しました。
歓迎の挨拶あさり汁の砂
既読過多こっそり逃げ出した子熊
意識的か偶然かはわかりませんが、今句集では二句一章の書き方が散見されました。俳句では〈切れ〉によって二句一章の取合せをつくることが多いし、短歌でも三句目あたりに切れ目を入れて上の句と下の句とが響き合う構造にすることがあります。掲句も「歓迎の挨拶」「既読過多」の後に切れ目があるのを想定してわたしは読みました。
四つ角に割れた日本語的注意
高台のシーサーの穴 銃の穴
今句集は章立てがないので、有機的につながった物語性やテーマ性よりも、一句一句を単独で読む川柳が多いなと感じました。川柳は付句が一句立として独立した文芸なので、一句一句の面白さは大事です。ただ欲を言えば、次はご本人の日常を連作にしたり、社会へ批評を群作にしたりする川柳も見てみたいと思いました。たとえば掲句のような川柳を見ると、ここをもっと掘り進めた連作や群作を読みたくなるんですよね。そういうのを程よく入れていけば句集の〈くびれ〉になるのでは? なんて思ったりするんです。
何はともあれ、森山文基さんの句集をぜひご覧になってください。