ぼくと川柳との出会いを語りたい。
詩や俳句、短歌は興味なくとも小中学校の教科書でまず目に触れられるが川柳はそうはいかない。特に現代川柳や革新川柳というものは尚更だ。今ならネットやなんかで検索すると色々ヒットするが、ぼくの思春期当時にはそのようなものは当然なく、興味あるものはとりあえず図書館で手当たり次第あたるか本屋で探す位しか方法はなかった。既に文学にかぶれていた中学生の頃は暇を見つけては新しい書物との出会いを求めて自転車で市内にある図書館や古書店を巡ったものだ。
あれはそんな中学生の頃だったと記憶しているが、市内の今はもうない行きつけの古書店で何気なく手を取ったこの句集のこの句に出会ってしまった。
形而上という高尚な言葉と象の組み合わせになにやら心の中で火花が飛び散った。
これが川柳か! と。
以来川柳に真面目に取り組めば良かったのだが、紆余曲折あって実際に川柳を始めるまでに20数年まわり道をすることになってしまった。それはまたの機会に。
月夜の晩、或いは真昼間かもしれないが象は水を飲む。しかもときどき。きっと美味しいのだろう。水を飲み音まで聞こえてくるようだ。